民事再生 | 福島いなほ法律事務所

民事再生

民事再生とは、民事再生法に基づき、裁判所が関与しながら、経営が悪化した企業を倒産させずに、事業を再生させ、再建を図る手続です。

 

民事再生のメリット

① 経営権を維持できる

民事再生の一番のメリットは、民事再生手続が開始されても、経営陣の退任や、地位の変更が必要ないことです。

② 負債をカットして延べ払いできる

債権者の同意を得られれば、例えば負債の90%程度をカットすることも可能です。また、カット後の負債については10年の内に元本を延べ払いする方法をとることができます。

③ 手形の不渡や取立てを防ぐことができる

民事再生手続開始の申立をすると、裁判所が「保全処分」を発令し、弁済禁止を命令します。これにより、手形不渡や取立て等を防げます。

④ 手元資金を確保することができる

民事再生手続開始の申立をしたことを金融機関に通知することにより、通知後にその金融機関の口座に入金された預金について金融機関側からの相殺が禁止されるため、その預金を活用することができます。

民事再生のデメリット

① 社会的信用を失う可能性がある

民事再生の申立てを行ったことにより、再建型ではあっても、世間一般の認識には倒産と見られてしまい、信用不安を発生させるおそれがあります。

② 担保権を行使されるおそれがある

民事再生において、担保権は、再生手続外で行使が可能です。これを防ぐには、担保権者と弁済協定を締結する必要があります。

③ 債務免除益に課税される

民事再生において、再生計画により、債務が免除されると、免除額につき債務免除益課税がなされますので、これについて繰越損失などの損金と債務免除益を相殺するなどの事前対策を講じておく必要があります。

民事再生において気をつけるべき点

民事再生手続と言っても、世間一般の認識には倒産と見られてしまい、取引先や消費者が、この企業をこのまま利用していっても大丈夫なのだろうかと、考えることは否めません。そうなってしまうと、実際に順調であった経営部分においても、イメージや信用が失墜してしまい、事業再生が上手く行かなくなってしまうことがあります。
 これを防ぐ手立てとして一番有効なのは、裁判所に民事再生を申し立てる前にスポンサーを探しておくことです(プレパッケージ型民事再生)。信用の置けるスポンサーがついていることがわかれば、取引先や消費者の不安は回避できるのです。

民事再生の手続

一般的な民事再生手続きのスケジュールは、①申立から10日前後で開始決定が出て、②申立後、約3ヶ月間が再生計画案の提出期限となります。そして、③申立てから約半年で再生計画の認可決定が出されます。

① 裁判所に民事再生手続開始の申立をする

裁判所に民事再生手続開始の申立をすると、裁判所は、申立が濫用的なものでない限り、保全処分を発令するとともに、監督委員を選任します。この時点で、債務の弁済が禁止になり、手形の不渡や取立てを防ぐことが出来ます。 監督委員は民事再生手続開始の要件の審査を行い、債権者集会の結果を踏まえて、民事再生手続が必要であるか否かの判断を行い、裁判所に意見書を提出することになります。裁判所はこの意見書に基づいて、民事再生手続開始を決定します。

② 再生計画案を裁判所に提出する

開始決定後には、債権調査手続や、財産状況の調査を進め、今後の弁済計画と事業計画をまとめた、再生計画案を裁判所に提出します。

③ 再生計画の認可決定

監督委員が再生計画案についての意見書を提出するとともに、議決権を持つ再生債権者の過半数の賛成同意と、議決権総額の2分の1以上の多数をもって、その再生計画が承認されます。
 
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